ビジネス小説「ザ・ゴール」で広く知られるようになったシステム改善手法TOC(Theory of Constraints;制約条件の理論)は、その開発以来、現在まで約30年にわたって継続的な改善を続けてきた。
この「ザ・ゴール」がTOCを知る最初の機会である方が多いと思われるが、この本もすでに発行から20年以上経過しており(1984年発行、邦訳発行は2001年)、書かれている中心的なコンセプトこそ変わらないものの、具体的な実行方法は継続的に改善を加えられてきている。
TOCの中心的コンセプトは、その名に示す通り「システム(組織)の目標達成レベルを決定づけるごく少数のコントロールポイント;“制約(Constraints)”を通じて、システム全体の成果向上を図る」というものである。
TOCでは「システム(組織)が複雑であるほど、管理方法はシンプルであるべき」と考えており、複雑なシステムに内在する“本質的な単純性(Inherent Simplicity)”を利用することで、シンプルかつ実践的に管理する方法があることを示した。
TOCでは「営利組織における“制約”は3つだけである」としている。
その中でも最も重要な制約は「市場」である。
2番目の制約は生産環境により、「リソースのキャパシティ」、または、「(顧客の求めるものを届けるまでの)時間」である。
この3つのコントロールポイントによって、システムの成果を最大限に発揮するように導く。
近年、最も重要な制約を「市場」と明確に定義したことによって、TOCはドラッカー教授のビジネスマネジメント理論(以降、「ドラッカー理論」と記述する)の基本部分と合致していると私は感じた。
ドラッカー理論は「営利組織とは経済的成果を第一義とするもの」であり、その「事業の目的は顧客を創造すること」であるとし、TOCは「営利組織のゴール(目的)は、現在から将来にわたってお金を生み出し続けること」とし、その目的達成を左右する「もっとも重要な制約は市場(顧客の注文)」であるとした。
これらの表現は、言葉こそ違うが同じ方向を示していると考えた。
したがって、ドラッカー理論によって示された“何をなすべきか(WHAT)?”に対し、“どのように実行するか(HOW)?”をTOCが提供できることが推察された。
そこで私は、TOCを専門とする立場からドラッカー理論を研究し、TOCの提供するアプローチがドラッカー理論の目指す成果の実現につながることの検証を試みた。
本サイトでは、ドラッカー理論の実践にTOCがどのように関係するのか、私なりの解釈を記述して行く予定である。
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