2011年7月2日(土)太白区中央市民センター会議室にて開催しました。
課題範囲は、9章〜11章でした。
参加者は、6名でした。
終了後は、ホルモン長町にて意見交換会(飲み会)を開催しました。
今回の範囲は「機会に焦点を合わせる」であるが、現在の社会情勢から、どうしても話題は、地震、津波、原発事故という原因によって必然的に起こるであろう結果(すでに起こった未来)の話になった。
いずれの参加者においても共通の思いは、これを社会的なイノベーションの機会と捉え、行動すべきであるということである。
さまざまな既得権益によって縛り付けられてきた社会の姿を、理想の姿を目指して変革する最高のチャンスであることは間違いない。
その一方で、最近ベストセラーになっている日本の社会システムの根幹の裏側を扱った本『日本中枢の崩壊』を読むと暗澹たる思いにも駆られる。社会システムの変革の最大のチャンスと思っているのは、日本株式会社の仕組みをよく知らない庶民ばかりで、実は何もかわらないかもしれないという気さえする。
いずれにしろ、こう言う本が出版され、ベストセラーになっていることを前向きに捉え、理想の社会を目指して行動すべき時なのだろう。
創造する経営者
第9章 強みを基礎とする
前章までの様々な分析によって、事業におけるいろいろな課題があぶり出されてくるのであるが、多くの場合、課題の多さに圧倒されるのではないかと思う。
ドラッカーさんもこの現実を指摘している。
ほとんど際限のない課題を管理可能な数にまで減らすことが必要になる。稀少な人材を最大の機会と最大の成果に集中し、少数の適切なことを卓越性をもって行うことが必要になる。
経験的に証明された、事業を成功させるためのアプローチは、以下の3通りと指摘している。
翻訳原文のままだとちょっと分かりにくいので、あえて自分なりにまとめてみる。
1,利用可能な市場と知識から最大の成果を生み出す”理想企業”を設計する。(”理想企業”=市場が望む企業、設計=事業の方向性、目標、評価基準の設定)
2,利用可能な人材(リソース)を、最も魅力的な可能性に集中させることで、機会の最大化を図る。(何を行い、何を捨てるのか)
3,利用可能なレベルの高い人材(リソース)に、最も大きな可能性をもつ機会を与えることで、人材(リソース)の徹底活用をする。(分析結果を行動に移すのは人)
理想企業の設計
”現在”をどれくらいの期間として設定するかという事業のタイムスケールの話に関連して、現在の企業評価の主流である年度毎、あるいは四半期毎の業績評価との間でジレンマが垣間見える。
事業の”現在”とする期間と、その部分である年度や四半期。
その部分と全体との間に対立があってはならない。
もし、部分である年度や四半期の短期評価を追い求めることによって、全体に悪影響を及ぼすのであれば、それは部分の評価基準が間違っている可能性がある。
全体との不整合は、多くの場合、部分評価基準の間違いに起因する。
間違った部分評価基準は、会社に混乱と悲劇を生み出す。
正しい行動をしているつもりで、会社の業績を悪くする。
”部分と全体の間に対立はない”;TOCの基本的前提の一つである。
P.185の例から
カーチス・ライト社が遅れをとったのは、ジェットエンジンへの移行。
マーティン社はさらに宇宙開発へ。
これに対して、参加者から話題提供。
日本製の航空機
航空機メーカー一覧
これらメーカーの中で、新明和さんはSHIP活動という社内改善活動の中でTOCを取り入れています。
また、ボーイング社はTOCを使っていることで有名ですが、全部が全部つかっているのではないようで、787はたいへんな納期遅れをしています。
一部情報では、787の生産はトヨタ生産方式を採用しているとか。。
余談だが”理想企業”という言葉は、どうしてもこの本を想起させる。
機会の最大化
ここでは、2つの言葉が出てくる。
リプレースメント;製品と活動をより適切なものに変える。
イノベーション;最大の機会を実現する
TOC思考プロセスの1ツールであるクラウドを使って、解決策(インジェクション)を開発する際も、選択肢のどちらか一方に新しい要素をプラスするケースとまったく新しい要素を持ってくるケースとがある。
すなわち、
リプレースメント;行動D(またはD’)に、もう一方のニーズC(またはB)を満足するための要素をプラスしたもの。
イノベーション;行動DおよびD’とは違う新しいもの。
と考えられる。
TOCの思考プロセスの1ツールであるクラウドが、マーケティングオファーの開発にも用いられるのはこのためである。
リプレースメントにおいて
変えるべきは、企業自身が製品をそのように見、提供し、利用するかである。
イノベーションとは、
つながりのない部分的なものを、大きな力をもつ統合されたシステムとして結びつける。
人材の最大利用
”人材の配置は致命的に重要な決定である”のだが、現実はかなり軽んじられており、結果もそれなりである。
中小企業ではいつも”そんなこと言っても、(大企業みたいに)人がいない”と言い訳が聞こえるが、そんなことはない。大企業にだって人はいない、自ら適切な人材を配置しようと努力しないならば、人なんて何処にもいない。
言い訳を言っている間に、現場へ行き、従業員の声に耳を傾けるべきだと思うのだが。。
大きな機会のリストをつくり、それぞれに対して順位を付ける。
(中略)
次に、第一級の人材やチームに対し、強制選択によって順位をつける。
そして、第一順位の機会が必要とするだけの数の人間を、第一順位の人材から割当てる。
順次同じことを行う。
10章 事業機会の発見
この章は、やたらと”制約”という言葉が出てくるので、本サイトの運営者としては反応せざるを得ない。(苦笑)
本章で出てくる”制約”のもとの英単語は、”limitation”もしくは”restraint”である。
一方、TOCの”制約”は”Constraints”である。
TOCでは”制約”という言葉に特別な意味を込めているので、一般的に用いる制約という言葉とは少し意味が違う。
TOCで”制約”というときの定義は「システム全体の成果を左右するごく少数のコントロールポイントのこと」であり、成果をブロックするものであると同時に、うまく使えば引き上げることもできる。単純にブロックするだけの一般的な制約のニュアンスではない。それを転じて、プラスにもっていくための”てこ”として機能するものである。
事業機会は3つの問いによって明らかにされる。
第一に、事業を脆弱なものにし、成果を阻害し、業績を抑えている弱みは何か?
第二に、事業内においてアンバランスになっているものは何か?
第三二、事業に対する脅威として恐れているものはなにか?いかにすればそれを機会として利用できるか?
もうちょっと報告を続ける予定ですが、時間切れでいったんここまで公開します。(7/3 11:20)
続きを追記します。
弱みを機会に転じる
先の問についてこう続けられている。
問題は、これらの問いが、まれにしか提起されないことにある。
マネジメントは現状は変えようがないと考える。
「工程上の制約を解決できるものならば、はるか昔にそうしている」が共通した態度である。
ずっと居続ける慢性的な問題症状を、TOCではUDEs(UnDesiable Effects;好ましくない症状)※と呼んでいる。
※注) UDEsはその記述方法に厳密な決まりがあるが、ここでは割愛する。詳しく知りたい方は、Oded Cohen氏の『Daily Management with TOC (Chapter 24 of Theory of Constraints Handbook)』を参照されたい。→日本語訳が必要な方は別途ご相談下さい。
一つUDEがあれば、その症状を説明するクラウドが書ける。
クラウドが書ければ、問題の構造が明らかになる。
問題の構造が明らかになれば、解決策(の方向性)は自ずと明らかになる。
問題解決のヒントは、クラウドを存在させてしまっている前提条件にある。
※クラウドの作り方、前提条件の導き方、解決策の作り方は、同じくOded Cohen氏の『Daily Management with TOC (Chapter 24 of Theory of Constraints Handbook)』を参照されたい。→日本語訳が必要な方は別途ご相談下さい。
続く記述で、ドラッカーさんも”制約”を機会と捉えていることがわかる。TOCの発想の原点は、すでにここに書かれていたということである。
P.202
・企業や産業の弱みや制約は、通常、すでに周知であるか容易に確認しうる。(中略)
・企業や産業に固有の弱みを克服するためのイノベーションは、その企業や産業の人間にはまったく不可能なことに見える。しかし、イノベーションのための準備はみなが起こりえないといっているうちに整いつつある。
・そのような弱みや制約が克服されたとき、経済的な成果はきわめて大きなものとなる。したがって、そのような制約こそ大きな機会である。
・そのような制約を克服するには、体系的なイノベーションすなわち新しい能力や知識の分析と、その新しい能力や知識を開発するための体系的な取り組みが必要である。
この引用部分に書かれていることを実現するのがまさにTOCといえる。
そして、その強力な分析ツールがクラウドである。
ドラッカーさんは制約について、以下のように書いている。
そのような制約は三つの領域において見つけることができる。すなわち、(1)生産工程の経済性、(2)産業の経済性、(3)市場の経済性、である。
TOCでは現在、”制約”は、以下の3つのうちのいずれかである。(a)キャパシティ、(b)時間、(c)市場。
ここで、少しニュアンスの違いはあるが、(a)、(c)はほぼ共通しているといえる。
時間についてはここには書かれていないが、ドラッカーさんは『経営者の条件』(P.46-47)の中で、”時間こそ真に普遍的な制約条件である”と書いている。
ドラッカーさんの言う”産業の経済性”については、生産フローに関することはキャパシティ(a)に、その産業の市場に関するマーケティングの話は市場(c)に含むと考えて良いかなと感じる。
いずれにしろ、”制約”という言葉の定義の仕方が違うために、制約として挙げている項目が言葉の上では違うが、考え方、方向性は同じと考えてよさそうである。
このように、最も有望な機会は、事業に内在する弱みに存在する。しかし、そのような弱みを機会に転ずるにはイノベーションが必要である。
そのために、われわれはTOCを使う。
P.209
アンバランスを強みに転換する
あまりに多くの企業が慢性的なアンバランスの状態にある。
アンバランスもクラウドとして表すことができる。
クラウドがあるということは、その解決によって機会が生まれる。
例示されたアンバランスは、生産的活動、流通、補助的活動、規模があげられている。
P.222
脅威は本当に脅威なのか
変化を脅威と感じることが多いのだろうが、変化は機会である。
企業や産業にとって脅威であるかに見える新しい事態にこそ、隠された機会が存在する。
常に、「事業にとって有害であるとしてきたものをいかに受け入れるか。そもそもそれらは本当に有害か、それとも逆に役に立てられるか」を問わなければならない。
あらゆる関係者が起こりえないと知っていることこそ徹底的に検討しなければならない。起こりえないことが、自社にとって何かを起こすための大きな機会となる。
潜在機会の発見とその実現には心理的な困難が伴う。確立された慣習の破壊を意味するがゆえに、内部の抵抗を受ける。それはしばしば、その組織が最も誇りにしてきた能力の放棄を意味する。
ここに重要なメッセージがある。
自社の弱みや制約の中に機会を探すなどということは、それらの仕事を担当している人たちの地位、誇り、力への直接の攻撃として怒りを買う。
まさに(苦笑)
TOC導入時には、大変な抵抗にあうことがある。
そのような変化に対する抵抗があるものだとして、TOCでは変化への抵抗の6階層というものを考慮してプロセスを組み立てる。
人は本質的には、改善(良い結果をもたらすこと)に対して抵抗することはない。
もし、変化に抵抗するのならば、それはその人にとってのメリット(良い結果をもたらすこと)を正しく伝えられていないからと考えるべきなのである。
これは、TOCの基本的前提の3番目ー人に対するリスペクト(敬愛)からもたらされる基本姿勢である。
11章 未来を今日築く
企業家のアプローチ
第一に、経済や社会の不連続性の発生とそれがもたらす影響との間の時間的な差を発見し、利用することである。すなわち、すでに起こった未来を予期することである。
第二に、来るべきものについて形を与えるためのビジョンを実現すること、すなわち自ら未来を発生させることである。
すでに起こった未来は必ず機会をもたらす。
最初に書いたとおり、今回はどうしても地震、津波、原発事故のことが話題の中心になる。
通常時、ドラッカーさんが着目すべきとする領域は、(1)人口構造、(2)知識、(3)他の産業、他の国、他の市場、(4)産業構造、(5)企業の内部としてきた。
今回の地震、津波、原発事故が。こうした領域でどのような影響をおよぼすのか、それは原因と結果の関係で分析することで明白になる。
その起こりうる結果を、機械として利用する。
しかし、この機会を活かすためには、覚悟が必要だ。
ドラッカーさんの次の言葉を自らに課したい。
未来に何かを起こすには勇気を必要とする。努力を必要とする。信念を必要とする。その場しのぎの仕事に身を任せていたのでは、未来は作れない。
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