2011年12月23日(木・祝)太白区中央市民センター会議室にて開催しました。
課題範囲は、第二部(8,9章)でした。
参加者は、12名でした。
終了後は、ひょうたんにて意見交換会(飲み会)を開催しました。
第三部 組織社会の時代
第8章 多元化した社会
第9章 多元社会の理論
詳細はまた後日追記します。
追記しました(12月29日)
多元化という言葉に引っかかりを感じた方が複数名いた。
一元化という言葉の反対語として多元化を解釈するとわかりやすいのではないかと思う。
マネジメントの中心が1点ではなく、複数の点になる。
中央集権的な一元化された意思決定は、会社の社長がすべて末端のことまで判断するようなものであるが、現状の組織構造を見てもそうはなっていない。それぞれの責任領域をもったマネージャーが、それぞれの評価指標のもとで、自ら意思決定をしている。
このことは、成果をあげるための必然である。
”組織が自らの強みではない領域にある問題に手を出すことは、社会的に責任ある行動とはならない。自らの仕事に集中して社会のニーズを満たすとき、初めて社会的に責任ある行動となる。社会のニーズを自らの業績に転換したとき、最も責任ある行動をとったことになる。”
自らの強みに集中するがゆえに、組織はその不得意なところを、それを得意とする別の組織に任せなければならない。このため、相互の依存関係がますます増えていく。
”組織社会に関わる理論は、組織間の相互依存性を基盤として組み立てる必要がある。”
"互いに関係をもつどころか出会うこともなかった組織の関係が、複雑になり、混乱し、境界がぼやけ、混雑の中の共生関係となった。それは混沌としつつも生成発展する関係である。"
組織が相互に依存関係によってつながっていることは、構造的には複雑であるが、マネジメント上は原因と結果の関係によって理解可能な本質的なシンプルさがあることを示している。これは、TOC(制約理論)の基本的前提の一つともなっている。
ドラッカーさんは、このような社会において、成果をあげるための理論がまだないと言う。
”今日の組織に働く者は、自ら意思決定を行い、自らの知識を責任をもって使うことを求められる。”
”今日の組織社会は、組織それぞれの目的、役割、成果に関わる問題、すなわちマネジメントに関わる問題を引き起こした。組織とは法的な擬制だからである。意思決定を行い行動するのはあくまでも個人である。”
”ここで緊急に必要とされているものが、組織に関わる理論である。”
”知識の生産性をあげるためのマネジメントについても理解は十分進んでいない。異なる知識と技能を持つものを、共通の目的のために共同させるための方法がわかっていない。”
”いかにして知識を生産的にするかについてはわかっていない。”
しかし、幸いなことに今の我々は、このための理論を少なくとも一つは手にしている。
それは、TOC(制約理論)である。
TOCとのつながりを意識しながら、多元組織をして成果をあげるための理論についてのコメントをしてみる。
1,成果の測定指標についてー部分と全体のリンクを取る
”成果を測定しなければならないことが明らかになっている。同時に、企業以外の組織のほとんどにおいて、成果の測定方法が不明なままであることも明らかになっている。”
”企業以外の組織も、企業にとっての尺度、市場と収益性に相当するものを必要とする。もちろん、それらの尺度は企業のものとは異なるものたらざるをえない。”
”自らの目的を明確に規定するほど強くなる。自らの成果を評価する尺度と測定の方法を具体化できるほど大きな成果をあげる。自らの力の基盤を成果による正統性に絞るほど正統な存在となる。”
”あらゆる組織が、一体となって成果をあげる必要がある。大勢の人たちを集めるがゆえに、組織の目的とそれらの人たち一人ひとりの役割とを調和させなければならない。”
個々の努力を正しい方向に向けるためには、成果測定指標は決定的に重要である。
指標に関する現状の最大の問題は、部分と全体の”不調和”である。
多くの組織で全体の成果を測る指標はある。営利組織ならば、利益やROI、売上高など。(非営利組織は?)
また、各部分の成果を測る指標もある。稼働率や部分利益など。
問題は、部分の指標を改善する努力が、全体の成果指標の改善にリンクしないという不調和が蔓延していることである。
個々は正しい行動をとっているのに、全体の成果に悪影響を及ぼす。これ以上の悲劇はない。
2,優先順位の高いものからリソースを集中させる
”目的に関する最も困難で最も重要な決定は、何をなすべきかについてではない。”
”第一に、もはや価値なしとして何を捨てるかという廃棄についての決定であり、第二に、何を優先するかという集中についての決定である。”
”今日の組織は、集中することによってのみ成果を上げうる。組織とそのマネジメントの力の基盤となりうるものは一つしかない。成果である。成果をあげることが、組織にとって唯一の存在理由である。”
”組織が自らの役割に集中すべきことを要求しなければならない。これらを超えるものはすべて越権である。多元社会の組織にとっては、それぞれの目的に集中することが正当性の鍵となる。”
”いかなる組織といえども一時に多くの仕事には取り組めない。組織構造やコミュニケーションの工夫ではどうにもならない。組織では集中力が鍵である。”
”大事なことは、何を行うべきかではなく何を最初に行うべきかである。”
”しかし、何をなすべきかについては合意は得られても、何を最初に行うべきかについては常に合意が困難である。”
”通常は、人の常として、あらゆることを少しずつ行うことによって優先順位の問題を避けようとする。”
集中とは「なすべきことを行い、なさざるべきことをしない」ことである。
企業活動の中で、やらなくて良いなどと議論できないことが多いかもしれない。
しかし、それが、今やるべきかどうかには議論の余地がある。
まずは、今「なすべきではないこと」を後回しにすることが重要である。
多くの仕事を同時進行することは、リソースの時間を薄く引き伸ばし、すべてのタスクが長い時間かかってしまう。
一つのタスクの処理に時間がかかればかかるほど、掛け持ち仕事になる可能性が高くなる。
また、掛け持ちしている仕事の数が多ければ多いほど、別の案件の問い合わせや督促によって、作業中のタスクが中断されることが多くなる。
タスクの中断が多くなれば、完了までの時間が長くなり、さらなる掛け持ち仕事につながる。
このように、タスクの同時進行は永遠に続く負のスパイラルを引き起こすことになる。
この負のスパイラルを断ち切るためには、優先順位の高いタスクから順番に、そのタスクができるだけ早く終わるようにリソースを十分な数だけ割り当てていったときに、リソースが足りなくなるタスクはリソースが空くまでの間、一時凍結する必要がある。
リソースを集中配置し、同時進行する案件の数を最小限に抑えることが必要なのである。
タスクの開始を遅くすることは、タスクの完了を遅らせることになると思うかもしれない。
しかし、たとえ早く着手したとしても、同時進行するタスクが多いほど、始めたあとの待ち時間が長くなる。
大きな違いは、どこで待たせるかである。
とりあえず着手しておいて待たせるか、着手せずに待たせて、タイミングよく始めるか。
とりあえず着手してしまうと滞留するタスク数が増えるため、中断の増加のほか、優先順位の混乱や探し物をする時間の増加、必要なものの紛失など、品質問題やコスト増などの無駄を多く発生させてしまう。
仕事の詰め込みすぎを防ぐことが、いかに集中しやすい流れの良い環境を生み出せるかは「ジョブショップゲーム」で体験できる。
◯「The Job Shop Game」で仕事の詰め込みすぎの弊害を理解する
また、掛け持ち仕事が、その切替時間によってどれだけの時間ロスを生み出しているのかは「ビーズゲーム」で体験できる。
※日本語テキストを作成していないので、下記(英語)ページを紹介しておく。日本語テキストは後日作成予定。
◯A SIMULATION MODEL FOR FACILITATORS OF TONY RIZZO’S BEAD GAME(PDF)
これら2つのゲームは読書会に先立って行ったTOC仙台勉強会で体験してもらった。
3,共通の優先順位の必要性
”しかし、何をなすべきかについては合意は得られても、何を最初に行うべきかについては常に合意が困難である。”
同時進行する仕事の数が減れば、優先順位はつけやすくなる。
しかし、日常的に優先順位付けをするためと、その優先順位を守って作業をおこなうためには、みなが納得し、かつ、実用的なほどにシンプルな優先順位付けのメカニズムが必要である。
TOCでは、バッファーマネジメントによって、これを実現する。
そのシステム(組織)のアウトプットのペースを決めるものに合わせて、共通の優先順位をシンプルな色分けで示すことができる。
集中のマネジメントに関する、TOCの知識はすでにある。
情報が英語だから、また、それを知る日本人が少ないから日本で伝わらないだけである。
知識労働の生産性を高めるために、そして多元化組織の成果を高めるために、もっともっと多くの人にTOCをちゃんと伝えなければならないと、この章を読んであらためて責任を感じるところである。