2011年6月3日(金)、エフエムたいはく しらかしラウンジをお借りして、開催しました。
課題範囲は、6章〜8章でした。
参加者は、12名でした。
終了後は、養老乃瀧 長町店にて意見交換会(飲み会)を開催しました。
読書会開始前の雑談から、重要な指摘がありました。
ドラッカーさんは、『ネクスト・ソサエティ』の序文で「日本の読者へ」と題してこう記している。
日本では誰もが経済の話をする。だが、日本にとって最大の問題は社会の方である。
(中略)
これに対し日本の社会的な制度、政策、慣行は、1990年頃まで有効に機能した。だが、もはや満足に機能しているものは一つもない。いままさに、再び新たな制度、政策、慣行が求められている。
今回の震災は、まさにこのことをあぶり出したようだと。日本の社会的な機能不全が、いま我々の直面している問題の根本にあるのではないかと。
創造する経営者
第6章 顧客が事業である
企業の成果は中にはない、外にある。というのはドラッカーさんがいつも言うことだ。
マーケティングの基本中の基本は、顧客を深く理解することである。
「顧客を満足させる」ということは、ただ「顧客が欲しい」というものを提供することではない。
実は「顧客が欲しい」と口で言っているものが、本当に欲しいものかどうかは、顧客でも分かっていない場合が多い。
顧客はそれを見て「これなら私の問題を解決してくれそうだ」と思っているかもしれないが、実はプロからみればもっと良い解決策があるかもしれないのだ。
顧客がそれを欲しいといっているのはなぜか?顧客はなぜそれを買う(買った)のか?
そこに「顧客が買う満足」の本当の姿がある。
営業の手法の中にも「売らない営業」というものがある。
それはお客様が本当に必要とするものを提供するために、お客様の立場になって、自分たちの商品が本当にお客様の役に立つのかを考えるやり方である。
「顧客がボス」なのである。
合理的という言葉に引っ掛かりを持つ方が少なくない。
意味の捉え方が違うと話が噛み合わないので注意が必要な言葉である。
供給側の理論ではなく、顧客側の理論に立つ。
特に顧客側の心理というものが重要で、「経済は感情で動く」と言われるくらいに、顧客は自分の主観において合理的な行動している。
顧客が不合理に見えるのは、あなたが顧客を理解できていないからだと思わなければならない。
顧客の合理性については、行動経済学の話が参考になる。
第7章 知識が事業である
事業とは、市場において知識という資源を経済価値に転換するプロセスである。
物やサービスは、企業が持つ知識と、顧客がもつ購買力との交換の媒体であるに過ぎない。
知識とは何か?という定義の問題は、悩ましい話題であるが、野中郁次郎氏の著作『流れを経営する』の中での考察が非常に腹に落ちる。
情報とは異なり、知識においてはまず「私がどう思うのか」「それは私に取ってどういう意味があるのか」という主観による価値判断(解釈)の過程が重要なのである。現象・データの背後にある意味を読み取るのは人間の主観であり、その主観が人によって異なるからこそ、新しい意味(知識)が創造され、ひいては新しい価値の創造につながるのである。
意味のある情報としての知識の最大の特質は、「人が関係の中で作る資源である」ということである。
(中略)
人が他者あるいは環境との関係性の中でつくり出すものであり、その時の状況や知識を使う人の特質(思い、理想、主観、感情など)によってその意味や価値が異なってくる資源なのである。
そして、以下のようにまとめている。
知識とは
「個人の信念が真実へと正当化されるダイナミックな社会的プロセス」
野中氏の書くように、知識のもつ主観性、他者との関係性というものへの気づきは非常に重要だと思う。
このような理解を踏まえて、この章を読むと良い。
知識の卓越性について、以下のような記述があり、参加者を悩ませている。
多くの領域について卓越することはできない。しかし、成功するには、きわめて多くの領域について並以上でなければならない。いくつかの領域において有能でなければならない。一つの領域において、卓越しなければならない。
この、並、有能、卓越の基準レベルはどこにあるかという点である。
参加者より並については、「500時間以上勉強したものは並として良い」との話があるとの話題提供頂きました。そうなると、並といっても相当ハードルが高くなってしまいますね。
TOCの知識の中では、競合優位性あるいは競争優位性(Competitive edge)という言葉が出てきますが、それは市場のライバルたちよりも優位性をもつ特徴のことです。
例えば、生産においては、品質、価格、リードタイムが競合と同等であれば、まず、納期遵守率を完璧なまでに高い状態にし、市場からの信頼性評価を高めます。
さらに、納期遵守率という信頼性を高い状態に保ちつつ、リードタイムを短くします。
このリードタイムの短さが、競合優位性をもたらします。
品質、価格は並で良いわけです。並というのは、主観的な言葉ですから、全体レベルが高ければ並のレベルも高く、低ければ低くなります。(品質、価格を決めるのは市場であることを忘れないように。)
このように並は競合と同レベル、卓越性は競合優位性と考えると理解しやすいように感じます。
第8章 これがわが社の事業である
2−7章のまとめの章である。
今回の読書会では、中身にほとんどふれずに終わってしまったが、ここで重要な問いは
「わが社に欠けているものは何か?」
あらゆる企業で常に欠けているものとして、以下の3つを上げている。
1,全盛期を過ぎたものに代わるべきものを開発する努力
2,機会と成功の追求
3,知識
・本当に重要な新しい知識として何を取得する必要があるか?
・現在の中核的な知識の何を向上させ、最新のものとし、進歩を図る必要があるか?
・わが社の知識のどこに再定義の必要があるか?
参加者から話題提供された企業事例。
ライオンの育毛剤の広告宣伝の失敗話;赤と黒の広告でご苦労された話。商品自体はヒットしているようです。
富士フィルムの化粧品;企業イメージとのギャップの中で動向が気になると話題に。大企業の歴史的な大転換として興味ある事例。
ヤクルトの化粧品;商品の販売網がどうなっているのか気になると話題に。やっぱりヤクルトおばさんが届けるのだろうかと。
DHC;上記との比較で、通販+コンビニ販売で成功している事例として。
無印良品;ITのシステム屋さんはなんでもできると風呂敷を広げる場合が多く、顧客の利益とシステムのあり方とのギャップがあるという話から、システムを内製化して成功した事例として。
http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/COLUMN/20090702/333080/
うまい鮨勘;店舗をつくっていた小西造形さんが、寿司屋を設立。一大寿司チェーンとなった。知識をどう使うか、という点で重要。
富士通のBCP;10日間で工場を移す。さすがにグループ企業でコンサルをしているだけに、本体も迅速な災害対応ができたよう、実際に訓練し、使えるようにすることが重要。
ベンツの燃料電池車;世界一周を達成し、EVが充電で家1件1日の電力を必要とすると言われる中、EV、ハイブリッド、燃料電池の次世代エネルギー競争から目が離せない。
植物工場;カゴメは、原材料の安定供給のために、キューピーは、野菜が売れれば自社の商品も売れる。